金持ちにとっても貧乏人にとっても、中庸な人間にとっても、等しく物は虚しいものだ。
物が虚しく無い状態というのは、その物が機能を発揮している時のみ。
つまり必要な物は、必要だということだが、天下取っても二合半という言葉通り、どんな人間にとっても、本当に必要な機能など限られている。
私は、富裕層などに関する記述を見るたびに、バカバカしいと思うことが多いのだが、例えばその一つ。
”ビリオネアなど超がつくお金持ちになればなるほど、レストランを選ぶ時、星の数では無く健康に重点を置いて選ぶようになる。”
単純に馬鹿だと思う。
ビリオネアなどと呼ばれるようになるまで金銭的に上り詰めた頃になってようやく、健康の大切さなどという人間として基本的な事にようやく気付き始める人が出始めるということだ。
つまり、そこまで上り詰めていく途中の有象無象の資産家、エリート、実業家、ビジネスマン、経営者、セレブだとか富豪だとか呼ばれる人たちは、そんなことにさえ気づけずにがむしゃらに金や物質と虚しい追いかけっこをしているということになる。
散々遊んで、買って、集めて、なにもかもやり尽くして初めて、物質の虚しさに気づくというのは、なんとなくカッコよく描かれるが、ただ盲目的で知恵が足りないというだけのことである。
物質の虚しさなど、わざわざそんなに遠大な遠回りをしてから気づいてみなくとも良いのにと思う。
気持ちよく過ごすために必要な部屋など限られている。
健康と喜びを満たすのに必要な食内容など限られている。
その食事をするのに必要な食器など限られている。
快適な睡眠を取るために必要なスペースや寝具機能など限られている。
自分のスタイルをよく見せる服など限られている。
自分という素材を最大限よく見せるための化粧品やアクセサリーなど限られている。
ライフスタイルに応じた状況を歩んでいくのに必要な靴など限られている。
逆に言うならば、自分が取り扱える機能など、限られているということだろう。
どんなにお金を集めても、世界中の機能をオンにして回れるわけじゃない。
朝起きてから夜寝るまで、どうしても必要だった機能を見返した時、10億円稼いでみないと気づけない事実などひとつも無い。
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