服にお金をかけるのは良いが、コレクションしはじめると無駄だと思う。
服に限らないが、物欲というものは、いつのまにか物そのものよりも、買う行為自体に向いていく。
そして問題なのは、欲というものには、終わりがないということだ。
人には、自分に似合う服などというものは、冷静に突き詰めるて考えると、実に限られた範囲しか許されていないものだ。
しかし物欲は無限にあるものだから、気がついたら同じような物をたくさん買っている。
服屋の店員をしていた人が、客がいくつかの服で購入を迷っていたら、今その客が着ている服に一番近い服を勧めると、すごく納得して買っていくと言っていた。
客が今着ている服と、同じような色の、同じような質感のものを、ちょっと触ってはあっちに行って、また同じような物にひっかかっては手にとってみたり、そういう様子というのは店員というものはよく見ているもので、そして頃合いを見てやはり同じような服を勧めると、客はその言葉を待っていたというように決心して買ってゆく。
そこで逆に気を利かせて、こんな服も似合うんじゃないでしょうかと自分のセンスでお勧めして、それが有り難がれるケースは少なく、やはりベージュを着ている人にはベージュを勧めれば、納得してくれるのだそうだ。
つまり目的が逆転しているというか、何か新しい服が欲しくてショップを訪れたはずが、購入したい欲を満たしたいがために何かしら買わないと帰れないというような心理に陥り、そのショップの中で自分が一番似合う物を無理やり選ぼうとすると、結局同じような物を選んでしまうということになる。
まさにその時一瞬気分を高ぶらせるためだけの、高い娯楽費用となる。
というわけで繰り返すが、欲しい物というのは、買い物を始める前に、しっかりとイメージを固めたほうが良い。
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