私が住んでいる場所は、人にその地名を言うと決まって顔をしかめられるような、治安の悪いというか、そういうような地域である。
風俗とギャンブルとやくざの街という風情がある。
私は実害が無ければそういう風情もまた趣があって好きであるので、結構この街は嫌いでは無い。
たまに天気が良いとそういう街をふらふらと散歩するのが好きだ。
市街地からも山が見えて、雲が山肌に美しい模様の影を落としてゆっくりと動いていくのを見たりするのが好きである。
ふと視線を戻すと、錆びたボロシャッターにもたれ掛かる酔っ払いが、漫画のようにワンカップを煽っている。
汚いおっさんが行き着けの喫茶店から、つけ払いで頼むわと嬉しそうに声を上げて出てくる。
そういうギャップもなんとも味わい深いというものだ。
商店街に入ると、こういう街は個人の店が元気だったりして、適度に人が常に往来し、馬鹿みたいに溢れるように店頭に靴を並べた店には、目玉商品ブーツ一足100円などとダンボールに書かれてあったり、向かいのシャッターには、何重にも重なって判読できないスプレーの落書きが一面にされてあったり、下品な風に不釣合いないい香りを漂わせる、こじんまりとした可憐な花屋が律儀に店を開いて客を待っていたりする。
アーケードを潜って大通りに出ると、大きな道路を挟むようにパチンコ店が構えており、ここがもっとも人が混雑している。
自動ドアが開閉する度に機械音と玉が流れる音と音楽と店内アナウンスが渾然一体となって、意味の為さない音の塊を作って耳にぶつかって来る。
歩道の模様をぼんやり見ながら足運びに集中していると、今朝配った新聞が落ちて風になびいているのを見て、朝方通った時の静まり返った街とは別の時空を彷徨っているような感覚に襲われて、やけに今朝が遠い過去のように感じられる。
この後また夕刊を持って、新聞配達屋という別の顔を貼り付けて、また今とはどこか違う見え方のするこの街を一周する。
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