料理をしていて一番まず強く思うこと。
それは”しっかり味付けしようとしたら、こんなに大量に調味料って入れるものなのか”というようなことだ。
塩でも砂糖でも、油でも、ちょっと気持ち悪いぞと思うくらい入れるくらいで、食べてみると、丁度良い。
この丁度良いというのは、体にとって丁度良いかどうかは分からない。
美味しいと感じるかどうかは、普段どれくらいの味付けを普通として舌が慣れているかどうかでしかなく、私のように以前から外食ばかりしていた人間にとっての丁度良いなんて、濃い目であろうと思う。
薄味に慣れれば、薄味で美味しいと感じるのだろう。
それでも、実家の母親の料理というのは、ごくごく薄味で、慣れれば美味しいというレベルじゃなかったな〜と思う。
私はてっきり母親は料理が下手なんだと思っていたが、それはいわば、料理が上手だと思われたいという願いよりも、家族が健康であって欲しいという願いのほうが強かったのだろうと、今になってはありがたく思う。
しかし自分で自分の料理を作るとなると、やはり”美味しい”を目指してしまう。
上手な料理というのは、ただ調味料や油を大量にぶっこんで濃い味付けにすれば良いというようなものではもちろん無いであろう。
丁寧に食材の味を引き出し、食感や味付けのバランスやメリハリ、見た目や健康まで考えて作られた献立こそ、美味しい料理であり、そういうものを作れる人こそ、真に料理の上手な人と呼ぶのだろうが、私のような初心者が、それでも単純に美味しい料理を作ろうと思ったら、調味料を惜しまず恐れずざらざらと入れて、たっぷりのオイルで調理するほか無い。
この間ペペロンチーノを初めて作ったのだが、完成品の薄味さにびっくりしたものだ。
そうして後日、もっと美味いペペロンチーノを作りたいと色々動画やレシピサイトなどを参考に作ってみたのだが、まあその使う塩とオリーブオイルの量に辟易とした。
炒めるというより、油で煮ているんじゃないかと思ったほどだ。
しかしやはり、出来上がったものを食べてみると…美味しい。
なんというか、これは、知らぬが仏という類の感情なのかもしれないとも思ったものだ。
なんにしても料理とは、大変で難しい仕事である。
家族の健康や幸せを思えば、塩のひとさじ、増やすべきか控えるべきか、悩ましいところであろう。
旨い旨いと言ってもらえて、健康診断では血圧が下がったと診断される、そんなウマい話はなかなか無いものである。
毎日毎日そんなことを考えながら欠かさず三食献立を組み立てるなんて、愛が無くてはできない大事業であろう。
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