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ある”元”新聞配達員について
2017年8月15日火曜日

セミリタイアできる条件

私は一言で説明すると、30歳をそこそこ過ぎて貯金1000万円を超えたあたりを機に、新聞配達の仕事を辞めて、セミリタイア生活に突入した。
ほとんどの人には興味無いかもしれないが、検索ワードなどでここにたどり着く人もいるかもしれないので、私が実感として必要だった、セミリタイアの条件、セミリタイアに必要だった状況など、そういったものをまとめて書き出してみようと思う。
そういうことを目指す、または似たような状況にある御仁などに、何かの参考になれば此れ幸いと。

セミリタイアに貯金はいくら必要か?


私の状況としては、1000万円用意して踏み切ったことになるが、実際こういう生活を進めてみて実感としてあるのは、300万円もあれば十分安心であるなということだ。

だが、一度の人生、一度のリタイア経験、300万円で踏み切るべきかというのは、その人の金銭感覚や生活状況、また自分への自信などに大きく依るだろう。

また、結婚しているのか?子供は?今後の予定は?というところで変わってくるだろうし、セミリタイア前に抱えている借金がある場合もまた変わってくるだろう。

しかし、必要以上に無闇に怖がる必要も無い。
世間で示されるような、ファイナンシャルプランナーなどが掲げるような、人生にかかる金額の統計上の数字など、ものすごく贅沢な金額設定である。

例えば統計調査では、子供の教育資金として、幼稚園から高校まで公立、大学のみ私立に進学させたとすると、約969万円かかるそうだ。
しかし、この金額を子供にかけないと、世間一般的な普通の大人が育たないというわけではない。
立派な大人を育てるための子供の教育に必要なのは、何円子供の教育にお金を費やしたかではないということから逃げないことだ。
子供は金を食べて育つのではない、親を見て育つのだ。
ただし、自分たち親の勝手な望みや、子供に対するエゴイスチックなプレッシャーで生み出させたものではなく、子供が自分で心から望んだ進学先が仮に将来出て来て、そこが高額な費用がかかる場所だったとしたら、それはなんとしても行かせてやるべきで、金銭の都合で可能性の芽を摘むことだけは避けたい。
しかしそれはその時になって考えても遅く無い。
奨学金制度なりを使えば良い。
その返済のためなら、いくらでも自分も奥さんも一生懸命働くだろう。
子供のためであるから当たり前である。

また、老後の生活費には、統計上、毎月28万円、老後全体では約3000万円必要になってくるらしい。
そんなバカな。
毎月28万円など私には絶対使いきれない。

そんな感じで、一般的に言われるライフイベントにかかる費用など、まったく満たす必要は無いし、生活水準によって人生の満足度が左右されることは無い。
もし十分な費用を割けないことにストレスや不満足感、不安感を感じるとしたら、その根底には、お金とはもっと別の、お金などではもとより解決しようもない深い心の問題があるので、それを解消せずして金稼ぎに勤しんでいても、より問題は深く潜っていくばかりである。

私の感覚では1000万円の貯金はありあまるほどで、あまりにあり過ぎてまったく危機感を感じないほどである。
もし結婚して子供が1人居たとしても、1000万円あったら躊躇なくセミリタイアしている。
それによって得られるもののほうが大きいと感じるからだ。

ここはひとつ、独身既婚の状況様々含めた上で、ざっくりと、結論としてこういうことにしておこう。

セミリタイアには、300万円〜1000万円の貯金は用意したい。

セミリタイア生活では、月収いくら必要か?


私の場合は、月々5万円前後で生活している。
ほとんどが食費と光熱費である。
月収も現在は5万円あるか無いかというところ、最終的な目標は10万円弱くらいにはもっていこうと思っている。

しかしこれには条件がある。
家賃や住宅ローンの支払いが無いことと、車の維持費がかからないことである。

私にはたまたま祖父母が昔使っていた一軒家が空いていたので、それを一人で使わせてもらっている状況なので、この生活費は比較的楽に実現できているが、どちらかがあると非常に苦しい極限節約生活を強いられることになるし、両方あるとほぼこの生活費では無理である。

いい歳して親の家に転がり込むのも忍びない、また家庭によっては親への仕送りが当たり前の最低条件として課されていることもあるだろう。
家を買ってしまった、車を今後の人生で手放すつもりは無い、様々な条件によってセミリタイア生活の維持に必要な月収は変わってくるだろう。

しかし、月々15万円以上稼ぐような生活となると、それはもうほとんどの御仁にとって、普通に働いている状態とあまり変わり無い。
資産を右から左に動かしただけでそれくらいの安定した収入があるような御仁はそうすれば良いが、そんなことができるのは限られた人間である。

故にセミリタイア生活というのは、大きく分けて二種類あると思う。
一つは、私がしているような、ある程度の貯金を背景に、生活の維持費を最低限にして、その最低限の金額をちまちま稼いであとは自由に過ごすというセミリタイア生活と、
もう一つは、莫大な資金を背景に、資産運用などを並行させて、働く時間を抑えて、高い生活維持費を保ったまま余生を過ごすセミリタイア生活。

おそらく世間一般的に”セミリタイア”と聞くと後者を連想するだろうが、たぶん今後前者に当てはまる生き方をする若者は増え続けると思う。
それを可能にする大きな要因は、個人でできる小規模なネットビジネスの幅が広がり続けていることだろう。

後者を実現できる御仁には、また別のセミリタイア関連のサイトを参照してもらうことにして、そういうシチュエーションは除外して、このブログでは前者のようなセミリタイア生活に言及して書いていこうと思うが、前者の生活を実現させるには、高い家賃を払いながらや、一戸建てを購入してローンがあと30年あるという御仁には少し難しい。
1日1〜2時間ノートパソコンをいじるだけで数十万円以上稼げるという御仁ならば別であるが。

しかしながら、上で出た15万円以上稼ぐ生き方というのも、夫婦二人で協力して、というのならまた話は変わってくる。
例えば15万円を二人で稼いで、二人で15万円以下の生活費で生きていくというのならば、多少家賃などがかさんでもおさまる範囲内であろう。
二人とも7〜8万稼ぐだけならば、自由時間は多いに取れるであろう。
二人で示し合わせて時間を確保するのも容易である。

単身者であれば、生活費を10万円以下におさえたい。
でないと稼ぐ額が上がれば上がるほど、稼ぐのにかける時間が増えれば増えるほど、セミリタイア生活の意義が失われていく。

また、中途半端に稼ぐくらいなら、10万円以下に収入を抑えたほうがよい。
税金がかからないからだ。
私が調べた限りでは、住民税、所得税、年金、健康保険税などは、ほとんどがその非課税ラインが月収にすると10万円前後である。
これを超えて税金がかかってくると、ちょっと超えるくらいの金額稼ぐのと、ちょっと超えない程度稼ぐのとでは、後者のほうがずっと得で楽な生活ができる。

また、個人事業主にとっての退職金制度ともいうべき『小規模企業共済』を使って節税することで、さらにもう少し稼いでも良くなってくるが、詳しくはこちらをご覧ください。

小規模企業共済とは?個人事業主にとって節税になる?

また税金に関して詳しいことは、ラベル「税金」で出てくる記事を参照してもらいたい。

さて結論として必要な月収であるが、単身者か、既婚者か、各々の金銭感覚による生活費の総額とそれにかかる税金などで変わってくるので結局言えることは次のようなことである。

どこまで生活費を落とせるか、その金額を稼げれば良い。

セミリタイア生活に必要なモノ


セミリタイア生活の必需品、それは、周りの人間の理解である。
もしも伴侶がいるなら、その存在からの理解は必須であり、逆にそれさえあれば、なんとでもやっていけるといっても過言では無い。
また、そうでなく独り者でも、近しい者からの理解はやはり必要である。
遠い者、自分を知らない他人からの批判や否定、不理解は、ダメージではあるが致命傷とはならない。
しかし、親や兄弟、知人友人からの不理解、疑念や拒否反応を示されると、それはどうしても自分の中に積もり積もる。
いくら突っぱねて一人で生きても、最も近しい人間から認められていない感覚というのは、絶対に逃れられない苦しみである。
それを引きずって生きるのは、とても辛い。

あなたが仕事を辞めてセミリタイア生活に入ると言って、あなたの親や友人が、心配はするものの最終的には「お前らしい」となるのがあなたに想像できるならば、大丈夫である。
それが想像できないならば、ものすごい反発を買うことばかり想像できるならば、セミリタイア生活は、実質的に可能であっても、精神的に難しいことになるだろう。

もう一つ必要なのは、自分の役割である。

人はセミリタイア生活に限らず、役割なくして生きていけない。
どんなささいなものでも良いが、まったく無い状態では正気を保てない。

それはまったく役を与えられず、村人Aでさえ無く、セリフも立ち回りも与えられずに、舞台にあげられるような状況である。
どんな人でも、この状況に耐えることはできない。
その舞台から去ることしかできない。

仕事が生きがいの人が多いのは、仕事が楽しいからではなく、仕事の中には自分の役割が分かりやすい形で詰まっているからである。
また、仕事が生きがいの人でなくとも、仕事を失うと自分を保てなくなる人も居る。
例えばうちの父親もその苦悩を味わった一人だが、彼は決して仕事に生きる類の人ではなかったが、仕事をリタイアした瞬間鬱のようになってしまった。
それは、仕事がしたいから鬱になったわけではないし、仕事の中に自分のロールを見出していたからでも無い。
父親というロールが無くなったから鬱になったのだ。

セミリタイア生活には、自分のロールが見つけにくい側面がある。
その中でも自分を保てる何かをあらかじめ見つけておく必要がある。

私の場合”奇異な生活をするちょっと変わった人”というロールの中で生きている。
これは自分で勝手に設定したロールではあるが、周りもそれを認めているからこそ成立する。

「あいつは変人だから」「お前のことだから」「あんたに似合ってる生き方だ」

周りは半ば呆れて、半ば好意的に、そう言ってくれる、そう接してくれる。
そういうロールを設定することを許してくれているわけだ。
だからなんの尻込みも気後れも無く、私はこういう者だ、という顔で平気に生きて居られる。

「何をしてるんだ」「恥ずかしい」「もっとちゃんとしろ」

近しい人間からそういう目で見られ、こういう言葉をかけられていたら、私にはこの生活を続けていく力はあっても、続いてゆく道はない。
客にも共演者にも認められない役柄を、強引に終演まで演じることはできない。

そういうわけで、セミリタイア生活に必要なもの、それは

周りからの理解と自分の役割だ。

セミリタイア生活の老後


老後は基本的に、それまでに貯めた貯金を食って生きていく。
しかし、セミリタイアをする者は、そういう状況を目指すべきでは無いと思う。
多くの年金、多くの貯金に裏打ちされた、仕事を一切しないで良い安心安全な老後、それはリタイアまで人生を会社に賭して働いた者の老後のひとつの形であって、それが老後の唯一無二の答えでは無い。
それにこれには弊害もある。
人は必ずしも仕事から完全に解放されれば幸せになるとは限らないとは、前項にも書いた通りである。
また、年金に頼らざるを得ない生活は、国策に自分の人生が左右されすぎる生き方である。
国が揺らげば、自分の生活も揺らぐという生き方は、自分でどうこうできない部分の要素がありすぎて不安である。

むしろ、丁度良い程度の業務、責任、予定などを常に余裕を持って抱えている程度が、人は最も生き生きと生きれるのだと感じる。
長寿である人の傾向を見ても、必ずといって良いほど日々の日課となるような重すぎない仕事を絶え間無く持っていて、常に動いている。

故にセミリタイア生活をして、ネットなどでちょこちょこ稼ぐことを、老後関係なく生涯続けることは、結構理想的な生の活動、生活なのではないかと私は考えている。

老後もできる仕事というと限られている。
最も手近で手頃で都合の良いのが、ネットを使ったビジネスである。
指先と頭さえ動けば、ボケるまでできる生業である。
ノートパソコンとセミリタイア生活は見事なほどに相性が良い。
そして私の場合たまたまであるが、セミリタイア生活とミニマリストも実に相性が良い。

老後は一銭も稼げない、そう決め込むからこそ、年金と貯金に躍起にならざるを得ないのだが、一生細く長く稼ぐ展望があれば、”老後”などというピリオドは無く、それに対して若いうちからあれこれ悩み、準備しておく必要など無くなるのだ。

セミリタイア生活者の稼ぎ口は、一生続けられるものであったほうが良い。

セミリタイア生活に突入してよい4つの大条件


つまりまとめると…

・貯金が最低300万円くらいはあって

・最も近しい人から理解され自分を保てる精神的バックボーンを持ち

・毎月最低限度に抑えた生活費くらいは稼げる

・一生続けられるビジネスを持つ人

は、今すぐセミリタイア生活に入って問題無いということになる。

細かい生活費の削減や税金対策、効率的に稼ぐ方法や健康維持の方法、精神衛生にかかる趣味や目標など、細かい問題はいくつか挙げられるが、それはそういう生活に入ってから悩んでも遅くは無い。
セミリタイアを躊躇するほどの難問は、それほど無い。

上の四つが満たされるようならば、いつでも、どんなタイミングでも、

その仕事、その生活を手放しても、大丈夫なのだ。

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