一番ショッキングだったのは、人身事故の瞬間を見た時だ。
それは朝方の商店街だったが、配達をしていて、後方で「ドン!」という鈍い衝撃音が聞こえて振りかえると、まさに今、車のボンネットから人間がゴムまりのように弾んで、地面に打ち付けられる瞬間だった。
急ブレーキ音さえ聞こえなかったので、相当な勢いのまま気づかずに跳ね飛ばしてしまったのだろう。
地面に打ち付けられた人間は口からがぼがぼと血を湧き上がらせて、路面はみるみる血の海になっていき、車から出て来た若い女性は、ただただその横で棒立ちになり、頭を抱えて放心状態に陥っていた。
場所が商店街だったので、時間帯のわりに近くに人は居たので、すぐに救急車が呼ばれた。
私はそれらの光景を妙に、あまりのことに不感症にでもなったかのように冷静に眺めながら(人間の血ってのはあんなに温泉みたいに湧き上がるように口から出てくるんだなぁ)などとぼんやり思っていた。
跳ねられたおやじは、なんともみすぼらしい格好で、跳ねられた場所がありえない場所だったので、泥酔状態だったのかもしれない。
というのも、商店街といっても片側二車線あって、中央分離帯まであるような大きな国道の両脇にあるタイプの商店街で、そこには横断歩道も無い。
そんな道のど真ん中で見事に跳ねられているところを見ると、自殺かなと瞬間的に感じたくらいだった。
それに対比するように、車から出て来たのは、ごくごく普通の、小綺麗な若い女性で、それを見ると不思議なもので、被害者であるはずのおやじが、逆に加害者のようにも思えてしまう。
酒に酔って、ありえない時間帯にありえない場所をふらふらとしていて轢かれる。
運悪く最悪のタイミングでそこを通りかかったこの若い女性は、一瞬前までは平穏な暮らしをしていて、これからもまだまだ希望に満ちた人生があったはずなのに、この瞬間以降、一生十字架を背負って生きなければいけない羽目になる。
まあこれはぱっと見た瞬間感じた第一印象だけで勝手に思い描いただけで、この女性はもしかしたらとんでもない適当な運転をしていたのかもしれないが。
私はこんな被害者にも加害者にもなるのは御免だ。
ハンドルを握れば、くそ真面目に安全確認し、ばか正直に法令遵守しなければ、万に一つの大事故がつきまとう。
人生ほとんどのことは挽回可能で、やり直しが効くし、立ち直ることができるが、たった一回のなんの悪意も無い失敗が、絶対に取り返せない結果を招くこともあるということを、スクリーンや画面を介さない路上という生舞台の上でまざまざと見せつけられた。
悲惨なニュースやお涙頂戴の映画をいくら見たところで、こういう気持ちというのはなかなか湧かないものだというのを、その時感じた。
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