続かないというと、意思が弱い、とまあ次に来る言葉はこれだろう。
では”意思が弱い”というのはなんなのか？
それは持って生まれたマイナスの才能のようなものなのだろうか？
私は次のように考える。
人は今自分が一番優先してやりたい熱意を燃やせるものに、自分の意思を注ぎ込む。
この自分の”意思の絶対量”は決まっていて、注げば注ぐほど他に注げる意思は限られる。
もしダイエットに熱意が沸かない、意思を注ぎ込めないというのなら、それはあなたの意思の絶対量が少ないのではなく、ダイエットに注ぎこむ意思が残っていないのだ。
つまり、今他に熱意を持って取り組んでいる何かから、意思を注ぐ量を減らしてからでなければ、新たに注ぎ込める意思は新しく無限に沸いたりは絶対にしない。
でも自分には熱意を持って取り組んでいることなど何も無いと思われる御仁もいらっしゃるかもしれない。
しかしよく考えてみたらそんなことは無いはずだ。
例えばほとんどの人は、食べる事に熱意を燃やす。これは意思を使っているという事だ。
そしてその中でも何割かの人は、食べる事に尋常じゃない程熱意を注いでいる。
これは自覚的であったり無自覚的であったりするが、無自覚だからといって意思の注ぐ量が少ないわけでは決して無い。
食べることに対して自覚的に意思を燃やす御仁というのは、分かりやすい例でいうならば、食べ歩きが趣味だとか、食レポのブログを運営しているだとか、そういう御仁だろう。
食べることに対して無自覚的に意思を費やす御仁というのは、そういう食べる事を楽しむだとか、仕事にするだとかいう選択をしたという決断点が無かった御仁、よくよく考えてみたら一日の中で楽しいことと言えるのは食べることくらいかもしれない、という感覚を持っていると言える。
食べる事に意思を注ぐ御仁は、当たり前であるがダイエットに向かない。
真逆の方向に意思を注ぐのは、エネルギーの無駄が甚だしい。
であるから、食べる事に意思を注ぐ量を減らす事が、すなわちそのままダイエットという行為に直結する。
ダイエットというのは、物理的な行為よりもまず、精神的な回路作りから始まると言えるだろう。
食べる事に意思を注ぐ、という事が、自分から進んで選んだ結果であったら、なぜ食べる事に意思を注ごうと決めたのかご自身がよく分かってらっしゃるだろうから、もし今、例えば健康上の問題にぶつかってダイエットを余儀なくされているなどという場合は、まずその原点、自分が何故食べる事に意思を注ぎ始めたのかという事を見つめて、意思の蛇口のようなものを、今より絞るために必要な気持ちの整理を付けるのがよろしかろう。
食べる事に無意識的に意思を注いでおられる御仁は、なぜ食べるという行為に依存的であったり、盲目的であったりするのかという根本原因をまず見つけるのが先決であろう。
例えば”他にやりたいことが無いから食べる楽しみを捨てられないのだ”という原因に突き当たったのなら、それと対決を避けて乗り越えられる壁は一つも無い。
そこを無視してダイエットを決行しても、絶対に成功しない。
であるから「どういう方法でダイエットをしよう？」だとか「どれくらいのきつさなら続けられるだろうか？」と考えるのは、二の次であると言いたい。
ダイエットが食べる事よりも優先されるべき理由を、ご自身の中で明確に自覚できるまで、とことん気持ちの整理をするべきである。
これは、食べる事に意思を注いでおられない御仁（そういう方は少ないであろうが）にも、同じ事が言える。
ダイエットの優先順位が自分の中で、明確に上であることを自覚できるための、理由付けを、はっきりと先にやって、気持ちの上で納得してからで無いと、ただ漠然と我慢するとか、漠然といつもよりも減らすとかやっていても、習慣化は難しい。
ダイエットの成功の可否を決定するのは、メソッドうんぬんでは無い。
どんな方法を採ったかなどそれほど大きな問題では無く、そのスタートの段階で、ダイエットに注ぐための意思を十分に用意できるかどうか（重ねて言うがこの意思とは、新しく生み出せるようなものでは無いので、今どこかに注いでいる意志を削いでこちらに回してくるしか無い）にかかっている。
ダイエットに注ぐべき意思を十分に用意ができない、どうしても熱意が沸かない、やる気が出ない、こういったことが、ダイエットをする上での最初で最大の難関であるが、その答えは何か一つここでポンと提示できるものでは無い変わりに、１円もかけなくてもご自身の心の中をよく探っていけば、必ず答えがある、というような類のものである。
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