一番よく思うのは、ダイエットで、食事の後にこのお茶を飲めば脂肪の燃焼がよくなるだとか、アーモンドを食べればどうだとか、ハイヒールを履けば痩せるだとか、食前に水を飲むとか、いやいや野菜ジュースだとか、いやいや温めた白湯だとか。
ダイエット以外でもあらゆることに言える事だが、何かを変えたいと思った時、人は何かをプラスしようとする。
前回書いた部屋の話に当てはめると、部屋をもうちょっと垢抜けさせたいと思ったら、ショッピングモールにでも行ってお店の中で素敵だと買ってきた木の形をしたアクセサリースタンドでも部屋に置いてみる。と、自分の部屋をイメージできてないものだから店内の雰囲気で買ってしまってまったく部屋にマッチしなかったりする。
ついでに隣の店で、自分ももうちょっとオシャレになりたいと、ハットを被ってみたり、ピアスやブレスレットを買ってみたりする。
この料理もうちょっと美味しくさせたいと思ったら、とにかく何か調味料をプラスすれば良いとは限らないし、もっと人から好かれたいと思ったら、とにかく自分に何か特技でもプラスすれば良いというわけでも無いだろう。
畑の作物がうまく育たないと言って、安易に肥料を上からプラスプラスとやっていって、それでうまく育つわけではないように。
太っている人、部屋が垢抜けない人、ファッションがちぐはぐな人、料理が下手な人、人から好かれない人、育たない作物、貯まらない貯金、溜まるばかりのストレス、筋トレの効果が上がらない、ピアノがうまくならない、子供が勉強しない、いつも気分が憂鬱、失敗やうっかりが多い、言い争いばかりしている、人から認められない、等々。
そこには根本的な原因がある。
けっして何か新しい手法をひとつふたつ取り入れて解決できるような問題では無い。
「こうしてみたら？」というアドバイスは有難い。
なぜなら実行が簡単だからだ。
しかし「こうしないでみたら？」とか「こういう思考を変えてみたら？」とか「こういう習慣をやめてみたら？」というアドバイスは辛い。それは実行が困難だからだ。
自分をまず一旦根底から否定しなくてはならず、さらに自分の行動思考をいちから考え直し、組み立てて作り直さないといけない。
プラスすることは簡単だが、マイナスしようとすると、いきなり自分の根源的な問題を直視することになる。
しかしそこを避けて通って、見晴らしのよい場所に出る道はおそらく無い。
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