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ある”元”新聞配達員について
2017年5月7日日曜日

「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由(ワケ)を読んで思うわけ。

最近こういうことに反応してしまう。
本屋でふと手に取った本のタイトルが『「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由(ワケ)』であった。
今話題になっている本のようで、とても目立つ位置に置いてあって、タイトルもインパクトがあったのでつい手が伸びてしまった。
私は、このタイトルそのまんまのことが気になっていた。

「なぜ辞めないのだろう?」

素朴な疑問である。
死ぬほど辛いことから逃げられない精神状況、というのが私にはまったく想像できなかった。
人間は”生きたい”と願うからこそ、苦しいことに耐えれるのでは無かったのか。
死にたいくらいなら、働かずにいて浪費を重ねれば、じわじわ飢えて死んで行くのだから、わざわざ自殺しなくても目的は遂行される。
では兎にも角にもその職場を辞めてみれば良いのでは無いかと、ずっと思っていた。

これを読んで、なるほどと得心がいった点としては、こういった”限界のさらに先まで我慢してしまう人”というのは、自分の限界が全然把握できないままにずるずると我慢できてしまう人なのだなということや、”責任感や仲間意識が強い”という、ある意味美徳とされる部分などが仇になるケース、自分のことよりも周りや親を気にしてしまって身動きできなくなる心理などがあるのだなということだった。
また、私が誤解していた部分で、ブラック企業を辞めない、辞められない御仁というのは、能力や才能にてんで恵まれないので、結局どこにいってもこんなもんだ、自分を雇ってくれるところなんて他に無いなどと、絶望して退職・転職する気力が湧かないのだと勘違いしていたが、そうでは無く、例えばこの本の著者は、若い時分からデザイナーや漫画家を目指して絵を学び、夢を追って生きる人であった。
そういう人が、親の反対などを押し切ったり、無理を言って苦労させたりしながら、なんとかかんとか就職にこぎつけた会社で、夢だったはずのデザイン関係の業務にあたってみると、想像を絶する仕事量に追われまくる毎日だったと。
しかし周りの仲間、先輩などはバリバリ仕事しまくって、終電ぎりぎりで帰る自分より早く帰る人を見たことが無いなどという状況に置かれた時、自分はまだまだ頑張りが足りないとか、親に見得切って出てきたのに失望されたくないとか、今を乗り越えたら慣れてきてちょっとは楽になるはずだとか、長年追いかけてきた夢から逃げるみたいだとか、いろんなしがらみ、執着、懸念、責任感や連帯意識、夢に連なる目的意識、そこから派生する強迫観念、そして微かな微かな希望などにがんじがらめになっていく中で、それらと向き合う時間も無いままに一日中朝から晩まで働いて、そして自分がもう、まったくワケがわからなくなっていくという状況が、あるのだなということが、実に分かりやすく漫画形式で描かれていて読みふけってしまった。

人間というのは、想像以上に費用をかけずに生きて行くことができる。
そして、常に上を目指して一生懸命走り続けなくても、幸せになる権利が与えられている。
自分一人、自分が養う人一人二人くらい、どこに行っても何をしてでも生きていけるくらいの、懐の深さが今この国この土地にはある。
テレビをつければあの手この手でいろんな部分でいろんな状況で不安を煽る言葉ばかり取り沙汰されるが、それは人の興味を唆るからであって、必ずしも真理では無い。
テレビに目や耳を釘付けにさせたい人間たちの業務、必死の営業活動であって、あなたの人生を心底想って練り上げた情報では無い。
働かなくても生きて行く方法はいくらでもあるよ、会社に就職しなくっても人生なんとかなるさ、嫁や子供が居てもバイトで何が悪い、知恵を出し合ってその時その時で乗り越えていけば大丈夫、とは大人は言わない。
そんなことを言っても言った本人が叩かれるだけで何も得しない。
難しいことを言って不安を煽っておいたほうが、よく言った、偉いことを言った、賢いことを言ったと褒めてもらえるのだから、わざわざそんなことを言う人はいない。

しかし。
夢やぶれて死ぬくらいなら、夢など追わないほうが良い。
自分を自分たらしめる特殊な能力や抜きん出た才能などいらない。
そこまでして高く名を上げ、広く声を残さなくても、たった一人、二人、自分を想ってくれる人が居れば十分であるはずだ。
幸せになるためにフォーカスすべき点は、もっともっと思ったよりも低い位置、足元や振り返った道の向こうなどに、存外にあるのだと思う。

なぜそう思うのかという理由(ワケ)を敢えて述べるならば、この社会には幸せを捉えられている人が少なすぎるからである。
この人幸せそうだな、という人に出くわさない。
では世間でよく述べられているような意見や議論はほとんど、フォーカスがズレているのだろうと自分は予想している。

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