私にとって、気が引ける程の贅沢といえば、とっておきのものがある。
それは朝刊配達が終わった後その帰り道にすき屋に寄って朝定食をいただくことだ。
リーズナブルな贅沢といわざるを得ない。
が、この仕事直後に直接すき屋にバイクを停めて、食べる朝定食のうまさと言ったら、毎回痛烈に感動している。
こんな物を食べてて罰が当たらないだろうかと思うほどだ。
私はたぶん、あまり経験が無いが、高級なレストランや料亭、寿司屋などで料理を食べても、同じくらいうまいと思って感動して食べるだろうが、結局その感動の量は一緒である。
それはつまり、毎日高級料理を食べている御仁と、心の満たされ具合は変わらないという事だろう。
この一事を取っただけでも、お金で幸せを買うというのがいかに難しいかわかる。
どんな大金を叩いても、庶民が感じている満足感程の幸せしか、お金で買える範囲は限られているのだ。
私はお金以外なら、もう一つ、二つくらい、人生で手に入れておきたいものというのはリストアップできるのだが、少なくともお金は、今貰っている月給以上を稼ぎたいとは、露ほども思わない。
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